エレキギターは、自宅で好きな時間に演奏を楽しめる魅力的な楽器です。しかし、マンションなどの集合住宅では音量や振動による近隣への影響が気になることもあります。そこで本記事では、エレキギター用の防音室を設置する際に確認したい建物の構造や高い防音性能を実現するボックスインボックス構法について詳しく解説します。
エレキギターの防音室を造る際のポイント
エレキギターはアンプを使用すると大きな音量になるため、自宅で思い切り演奏を楽しむには防音対策が欠かせません。とくにマンションをはじめとした集合住宅では、音漏れによる近隣トラブルを防ぐためにも、防音室の設置を検討する方が増えています。
しかし、防音室は単純に部屋へ防音材を追加すれば完成するものではありません。建物の構造や部屋の広さ、防音室内部のスペースなど、さまざまな条件を考慮して設計する必要があります。
ここでは、エレキギター用の防音室を造る際に注意したいポイントについて解説します。
建物の構造によって防音室の施工可否が変わる
エレキギターの防音室を施工する際、まず確認しなければならないのが建物の構造です。現在の集合住宅では、RC造(鉄筋コンクリート造)や鉄骨造などが一般的ですが、防音室を造る場合には建物自体が施工に耐えられるかを判断する必要があります。
防音室は、壁や床、天井に防音性能の高い材料を使用するため、通常の部屋よりも重量が大きくなります。
そのため、建物の耐荷重を考慮せずに施工すると床への負担が大きくなり、安全性に影響を及ぼす可能性が高まりやすいです。
とくに木造住宅の2階部分は、荷重の問題から高性能な防音室を設置することが難しい場合があります。
防音性能を高めるためには、壁や床を厚くしたり、二重構造にしたりする必要があるため、事前に専門業者による確認が重要です。
防音室を造ると部屋の広さは小さくなる
防音室を設置する際には、現在使用している部屋よりも完成後の広さが一回り小さくなる点にも注意が必要です。防音室は、既存の壁の内側にさらに防音壁や吸音材、遮音材などを設置するケースが多いため、その分だけ室内のスペースが減少します。
施工前は充分な広さがあると思っていても、完成後には想像より狭く感じる場合があります。
そのため、防音室を計画する際は、施工後の仕上がり寸法を基準に考えることが大切です。
とくにエレキギターの演奏を目的とする場合、楽器を構えるスペースやアンプを設置する場所などを確保する必要があります。
エレキギター用防音室には最低限の広さが必要
エレキギターを快適に演奏するためには、最低でも仕上がり後1.5~2畳程度の広さを確保することが望ましいです。あまりにも狭い防音室では、演奏時の圧迫感が強くなったり、アンプや機材を置くスペースが不足したりする可能性があります。
また、音の響き方にも影響が出るため、快適な演奏環境を整えるには適切な広さが必要です。
ただし、防音性能を高めるほど壁や天井の厚みが必要になるため、施工前の部屋の大きさによっては希望する広さを確保できない場合もあります。
どの程度のスペースが必要なのか、用途や使用する機材を考慮して計画することが大切です。
専門業者に相談して最適な防音室を計画することが重要
エレキギター用の防音室は、単に音を遮るだけではなく、安全性や快適性も考えながら設計する必要があります。建物の構造や荷重の問題、施工後の部屋の広さなどを充分に確認しなければ、理想とは異なる仕上がりになる可能性があります。
そのため、防音室を造る際は、防音工事の実績がある専門業者へ相談することがおすすめです。
希望する演奏環境や防音性能を伝えることで、建物の条件に合わせた適切な設計や施工方法を提案してもらえます。
エレキギター防音室の造り方
エレキギターを自宅で演奏する場合、周囲への音漏れを防ぐためには高い防音性能をもつ防音室が必要です。防音室の造り方にはさまざまな方法がありますが、そのなかでも代表的な施工方法のひとつがボックスインボックス構法です。
この構法は、既存の部屋の中にもうひとつ独立した防音空間を造る方法で、音だけでなく振動の伝達も抑えられます。
エレキギターのように音量が大きく、床や壁を通じて振動が伝わりやすい楽器には適した防音構造といえます。
ボックスインボックス構法とは?
ボックスインボックス構法とは、名前のとおり箱の中にもうひとつ箱を造るような防音施工方法です。既存の部屋をひとつ目の箱と考え、その内部に壁・天井・床を独立させた防音空間を設置します。
防音室側の遮音構造と、もともとの建物がもつ遮音性能を組み合わせることで、高い防音効果を発揮します。
単純に壁へ防音材を貼るだけでは、音の侵入や漏れをじゅうぶんに防ぐことは難しいです。そのため、音の経路を考えた構造設計が重要になります。
遮音と防振構造が重要な理由
防音室を造る際には、壁・天井・床すべてに対して遮音対策と防振対策を行わなければいけません。エレキギターの音は空気を伝わる音だけではなく、アンプやスピーカーから発生する振動が床や壁へ伝わることで、建物全体に響く場合があります。
また、壁や天井、床に当たった音が建物本体へ伝わると、隣接する部屋へ音が放射される原因になります。
そのため、防音室では振動が直接建物へ伝わらないように、床や壁を浮かせた浮遮音層を設けることが大切です。
浮遮音層によって音と振動を軽減する
ボックスインボックス構法では、既存の建物と防音室の間に浮いた空間を設けます。この空間によって音や振動の伝達経路を減らし、エレキギターの演奏音を効果的に抑えられます。とくに低音域の音や振動は壁や床を通じて伝わりやすいため、防振構造を取り入れることが防音性能を高めるポイントになります。
エレキギターを思い切り演奏できる環境を作るには、音を遮るだけではなく、振動まで考慮した設計が欠かせません。