飲食店を開業する際には、集客に向けて魅力的なメニューやインテリアなどを考えるでしょう。それだけではなく、周囲に迷惑をかけないよう店舗外への防音について考える必要もあります。今回は飲食店開業前に行うべき防音工事について解説します。防音対策のため確認すべき法律や工事を行うメリットなどについて学び、適切な対応を行いましょう。
飲食店の防音対策は風営法によって定められている
飲食店を利用するお客の声が、周囲への騒音につながることがあります。とくにアルコールを提供する飲食店の場合は、お客が酔ってしまい
店舗内外で騒いでしまうことでトラブルにつながります。そのような状況を防ぐために、飲食店が確認すべき法律や行うべき防音対策について解説します。
風営法や条例の確認が必要
風営法に基づき、都道府県の条例で騒音に関する基準が決められています。風営法では時間、エリアなどにより
どれくらいのデシベルを守るべきなのかという基準が定められています。住宅街では細かく騒音の基準設定がされていたり、にぎやかな場所では個別の指定がされていたりすることもあるため、開業予定の地域の基準を確認する必要があります。たとえば東京都の基準は風営法の基準より厳しいなど地域差があるため、該当の地域の基準を確認するとともにしっかりと基準を守れる防音対策が必要になります。
飲食店が気をつけるべき騒音
飲食店開業の際に気をつけるべき騒音にはどのようなものがあるでしょうか。よくある騒音の例を挙げますので、内容を確認してみてください。
お客さんのおしゃべり
店舗内でのおしゃべりならそれほど問題にはなりませんが、
出入り口でお客さんがおしゃべりしていると近隣への迷惑となる場合があります。待合室を広く取ることや、お客さんがスムーズに入退店できるような導線が必要になるでしょう。またテラス席は開放的で集客につながりますが、声が近隣に聞こえやすいという懸念があります。そのためテラス席をつくる場合は、声が周囲に響きにくいような設計を行わなくてはなりません。
アルコールの提供
アルコールを提供する場合、酔ったお客の声が響いたり振る舞いが近隣に迷惑をかけたりすることがあります。状況に合わせてお客への声かけをするなどの配慮が必要となります。
カラオケサービスの提供
カラオケができる飲食店の場合、マイクを通した声やBGMが外に漏れないよう、しっかりとした防音対策が必要です。
店舗のBGM
店舗では雰囲気づくりのため音楽をかけることがあるでしょう。
BGMの音が大きすぎると近隣に迷惑となるため大きさに注意しましょう。
階下に影響する
店舗の下の階にほかのテナントが入っている場合、お客さんが椅子を引く音や足音などが原因で騒音トラブルにつながる可能性があります。防音のためマットを敷くなどの工夫が求められます。
飲食店が防音工事を行うメリット
飲食店はある程度の騒音が出るのは仕方ない、騒音トラブルが起きてから対処すればよいと思う方もいるかもしれません。ですが防音工事を行うことにはメリットがあります。以下では防音工事を行うメリットについて解説します。
防音工事のメリット
開業前に防音工事をしっかりしておくことで、近隣からよいイメージを持たれる確率が上がります。近隣の方はお
客として来店してもらえる可能性も高いため、よい関係を築いておくことが望ましいでしょう。開業前の工事を行う際に近隣へのあいさつもしておくことで、良好な関係を築くきっかけとなります。もし開業後に騒音トラブルが起きてから防音工事を行う場合は、一時的に閉店しなければなりません。そのため開業前に工事を行うのがおすすめです。また、防音対策を行うことで店舗外からの騒音を防げるというメリットもあります。長く愛される飲食店づくりのためには、しっかりと防音対策を行い周囲との関係を良好に保てるよう工夫しましょう。
防音工事にかかるコスト
上記のように防音工事にはメリットがありますが、当然ながらコストがかかります。工事にかかるコスト、メンテナンスにかかるコストについて要確認です。開業には防音工事以外にも
さまざまな費用がかかるため、計画的に予算を確保する必要があります。
防音工事の大まかな費用相場
飲食店の防音工事にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。一般的な飲食店であれば高額な費用はかかりませんが、大きな音が出やすい営業形態の場合は防音工事のためにある程度の費用が必要でしょう。
ほかの階に別のテナントがある飲食店
椅子を引く音や足音が階下に響かないよう防音対策を行う場合、
50万円以上の予算がかかると思っておくとよいでしょう。
カラオケなど大きな音を出す飲食店
カラオケ設備を設置するスナックなどは、カラオケの音、歌を歌うお客や酔ったお客の声が漏れないよう防音対策が必要です。目安として
200万円以上の費用がかかるでしょう。
まとめ
飲食店を開業する際、メニューやインテリアの考案、スタッフの教育など行うことはさまざまありますが、騒音対策についても考えなければいけません。魅力的なメニューが人気となりお客がたくさん来るようになっても、騒音により近隣住民や施設とトラブルになれば営業を長く続けるのが難しくなります。開業後に防音工事を行うこともできますが、工事のため一時的に店舗を閉めなければいけないので、開業前に防音工事を行うのがおすすめです。大きな音が出やすい営業形態の飲食店、階下に別テナントが入っている場合はとくに予算を割いて防音対策を行う必要があるでしょう。防音工事の実績が豊富な業者に工事の見積もりを依頼し、工事を実施しましょう。